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Channel: 【日刊 ノボちゃん】
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美大にセンター試験がある理由

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午前中しかやっていない日曜の最終日にやっと東京藝大の卒展(卒業制作展覧会)へ。

 


お寺ではなく、大学の門

休学などして(他大学からの転入者に多い)今年修了する友人や下級生が絞りだした力作を見ておかないと。

今は一般の総合大学や理系の大学にデザインと名の付く学部や学科は数えきれないほどある。
ただし、美大のデザイン科はやはり違うのだ。

 

私が最も見とれたペーパー作品


美術学部のメールアドレスには「fa」というドメインが付く。

 


上段中央は”ゴミ”

fine art(ファインアート)の略で、芸術的価値のある活動という意味になる。
だから藝大の学生は鑑賞する価値のあるものをデザインしなければいけないのだ。

 


丸の内のビル群を「丸の内山脈」と見立てた建築科の作品

学生の作品といえども、思わず見とれてしまうものが続く。

 


日本画科は淡い色、油画科はカラフル

いわゆるアーティストの展覧会と違い、卒展では作者は概ねその作品のそばにいる。

知り合いの学生さんなら
「これ、どういう時にひらめいたの?」
「これ、重さどれくらいあるの?」
「これ、どうやって自立してるの?」
「この材料、どこで買ったの?」

とあれこれ聞く。

 


タマミ画伯の作品は工学的知識が必須

知り合いじゃなくても聞くかな?私の場合。

そう、ひらめくだけでは作品にはならないのだ。

 


久しぶりに会えた面々と

リーくん、こうちん、きんちゃん

立体的なものなら自立させなければいけない。
搬入口から入るのか。
素材が重くて運べない、床が抜ける心配はないか。
電源はどこからとるか、配線はどうするか。
テレビモニターをたくさん使うならそれを買う予算はあるのか。
物体を動かすプログラムはどうやって組むのか。

 


右上のオブジェクトをどうやって自立させているのか

何万人と来場する観客にケガがあってもいけない。

さらには、文学からのアプローチ、歴史と関係ある研究、などテーマは多岐にわたる。

 

作品を作り上げるまでには気が遠くなるような根気強い手作業が必要になることもある。

相当の覚悟がなければ緻密な作品は完成しない。

 

「高校の美術の成績はオール5でした」だけでは

とても鑑賞してもらうまでの作品にはたどりつけないはずなのだ。

 


手先の器用さと粘り強さも求められる

スケッチやデッサンなどののいわゆる”お描き”だけが上手ではダメだ。

世の中を見て、そこから何かに気づき、人々の心を動かす表現に展開する。


「だからセンター試験が受験生に課されるのだ」と、今ならすごく納得できる。

 


駆け足で回っても3館と屋外で3時間はかかる

 

10年ほど前、藝大浪人生たちに

「絵ばかり描いていてもダメ。

絵がうまいのは当たり前だから

頭一つ抜けるためにはセンター試験で

差をつけてほしい」

と言ったことは正しかった。

 


ブラウン管テレビ12台の調達は大変だっただろう

芸術家の卵は今日で終わり。
みんな明日から本当の芸術家だね。


みんなの作品が世界中に認められますように。


好評発売中!

 

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