今日2月3日で長い歴史を閉じる店がある。
美術館1階の大衆食堂風
東京藝大美術学部の学生食堂「大浦食堂」だ。
多くの大学の学食が学校の直営、生協の運営だったりし、給食会社に丸投げ(東京都市大は東急の学校なので東急の給食会社に委託)ということもあるが、こちらは個人店がテナントで入っているという形態。
確か、戦前から営業していて、戦後学生が戻ってきても食べるものがないから店主が食糧を工面して再開したはずだ。
私はほんの1年しかお世話になっていないがいろんな思い出がある。
昭和の総菜がガラスの陳列の中に並ぶ
(1)ランチ2食完食
まずは入学前、先生との面談で、この構内にくることは一生ないかもしれないと思い、”ここで少し早い昼食を”大浦食堂でとった。
確か、和風の定食だったはずだ。
そうしたら、先生からも「一緒にお昼に行こう」と誘われて、”落とされたら困る、ここで断るわけにはいかん”と、音楽学部のほうの学食でカレーライスをむりやり食べた。
量が一番少なそうなのがカレーライスだったからだが、ランチ丸々2食分はさすがにきつかったなあ。
学生・教職員以外立ち入り禁止
卒展があったおかげで構内には入れた
(2)打ち合わせ場所
地域プロジェクトの際、学部から進学してきたリーダー・シゲノちゃんががいつもここを指定していた。
なんと、彼女たちは学部の4年間、一度も大浦食堂で食べたことがないという。
その理由が、大浦の料理に硬貨が入っていたという噂を先輩から聞いたからというもの。
すべての料理にお金を入れるほどお金持ちじゃないわ。
一度くらい試してみればいいものを。
若い子たちにとってはそんなものかもしれない。
(3)立食パーティー
フィンランドの先生、イスラエルの学生ほか多くの多国籍学生を交えた2週間のプログラムの最初にウエルカムパーティー的なものが開かれた。
焼き鳥や巻き寿司でいいの?と思ったが、これぞジャパニーズスタイル。
瓶ビールでお酌ができない大学1年生に衝撃を受けた。
こんなパーティー料理も今は昔
(4)サラメシ
2019年11月だったかな?サラメシに大浦食堂とマスターが登場した。
それを2017年、番組に推薦したのは私だ。
テレビマンユニオンの女性ディレクターと多少のやりとりをした。
無事放送に至ってよかった。
豆腐ともやしを炒めたものがのった「バタ丼」
(5)委託学食
何度も紹介してきたが、祖父は海軍のコック兵を引退して、広島大学の前身で大浦と同様の食堂を経営していた時期がある。
祖父の場合、原爆が投下されたので仕方ないが、事情が許せば続けたかったのではないかと思う。
コロナで学生も登校できないからの閉店なのだろうか。
音楽学部の食堂「キャッスル」も、1か月後には閉店と聞く。
蕎麦は苦手だが、ここの蕎麦は好んで食べた
すると、学生さんはアフターコロナには何を食べればいいんだろうか?
近隣にコンビニやスーパーもない。
先のことはまったく予測できないが、もしかしたら将来的には
「昔は大学に通って作品を創ってたんだよ。そのために構内に食堂なんかもあったね」
と懐かしむ時代が来るのかもしれない。
放送大学なんか食堂はあっても平日の教職員のためのものであって、たまにゼミとかで土日に行っても利用できず、思い出など一切ないことからしたら、思い出がありすぎる。
経営者と従業員の皆さま、お疲れさまでした。
ありがとうございました。
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