交代制で半日を2回だけ在廊した展覧会「TURN茶会」(国立新美術館)も残すところ、今日を含めて3日。
展示室の高さを生かした作品が多い
ぜひ皆さんに見て、参加していただきたい。
そのうち、私が地味に活躍した場面をご紹介したい。
制作のプロセスは実に地味で根気のいるものばかりで、30センチ角の布を切り出しまくる、からまったケーブルをほどきまうる、そして糸をほどきまくる…。
ある日の午前、監修の日比野克彦教授に私一人が拝命したのは、長さ10メートルの糸を200作ること。
そのために男性スタッフが高さ10センチの段ボールを切り出してくれた。
自分が色紙を貼った場所はすぐにわかる
1回巻いてこちらと向こう側で20センチ、50回巻いて10メートルだ。
先生がテーブルに椅子を立てて、椅子の脚に糸を置く台を段ボールで作ってくださり糸がからまることはない。
私はとにかく50を間違いなく数えて巻き取っていけばいい。
なんとか半日で完成した。
孤独糸巻きで切り出した糸は内部に使われた
これは会場中央の海のモービルを作るための材料だったが、後日方針が代わって中心が糸から毛糸に変わった。
(毛糸は別のスタッフが切り出してくれた)
その次は、茶室と呼ばれる竹のやぐらで囲われた空間で行うワークショップのための糸切り。
藝大出身の五十嵐靖晃さんは糸や組みひもで人と人をつなぐ活動をされているアーティストだ。
今回は5メートル50センチの4色の毛糸が必要ということで、ストッパーをかけた台車2台の間を5メートル50センチに設定して、人間が毛糸玉を持ち、往復しながらひっかけていった。
たまたま見に来た友人に会えた(左)、制作した学生マダムズ
2人ペアで、私は五十嵐さんと組んだ。
糸や組みひもというと小柄な女性がやっているイメージだったが、五十嵐さんは180センチ以上のモデルようなイケメン。
毛糸も約2千メートル測ったが、何往復したかを数え間違えたら大変なので会話しないものの、1人で巻いている時と違って、明らかにコミュニケーションは発生した。
糸玉によっては途中がこんがらかっているものもあるが、「ほどけない糸はない」「あせらなくていいから」と声をかけてもらい、救われた。
2センチピッチでやぐらに糸を結びましたとも
そういえば、子どもの頃、おばあちゃんの毛糸仕事のお手伝いで両腕を立てて、ぐるぐる糸巻きをしていたな。
ついでにおばあちゃんが一時期、機械編みをしていたことも思い出した。
今の私と同じ年頃だったんじゃないかな。
今は誰かと糸巻きをすることなんてないからなあ。
反復横跳びのように5メートル以上の距離を数百往復するのは体力も消耗するが、やらせていただいてよかった。
その間、イケメン独り占めだしね。
繊細な作品を生み出す大男
そういうわけで、五輪の年に私は4千メートルほどの糸を巻かせていただきました。
得難い体験に違いない!
五十嵐靖晃 オフィシャルサイト
http://igayasu.com/
ぜひ、お越しください
●TURN茶会
~8月9日(月)
国立新美術館(千代田線乃木坂駅直結)
https://www.nact.jp/exhibition_special/2021/turn-chakai/
●SDGs×ARTs展
(在廊日 7/30・8/6 16時~)
~8月31日(火)
東京藝術大学 大学美術館
https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2021/sdgs_arts/sdgs_arts_ja.htm
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