6月7日、自宅の郵便受けに分厚い封書が届いた。差出人の名前にも住所にも見覚えはない。
清水研究室 なぜこの写真を撮ったのだろう?
何なのだ?と開いてみたら、清水先生のご主人からだった。
驚くべきことに清水由美子先生が急逝されたというご連絡だ。
清水先生とは、3月まで東京都市大学の教授として教鞭をとっておられた先生で、私が大変お世話になった恩師だ。
専門は私の大・大・大好きなピクトグラム!
年度末の3月31日が定年退職の日で、そのわずか3日後の4月3日に脳出血で亡くなられたとあった。
電車の中でどこかの奧さん方の会話を紹介したが( https://ameblo.jp/e-presen/entry-12380466923.html ) 、定年退職後ひと月ほどで帰らぬ人となった方もあると知ってはいたが、定年の3日後とは…。
退職の日付まできちんと仕事を全うされたのが先生らしい。
こういう方々は、“なんとか定年まで…”と、無理に無理を重ねられ、安心したところで何かが噴出するのだろうか。
組織で働くということは大なり小なりストレスがかかるものなのだろう。
(102歳まで生きた祖母などずっと専業主婦だったから)
クレオパトラのような先生
在職中に「退職されてもどこかの教育機関で教えられたりしないのですか?」と尋ねたことがあるが、
「もう体力がないので働きたくない、働けない。主人の両親の世話もあるし、郷里に帰って静かに過ごします」
と話されていた。
先生は修士号は若いうちに取得されていたが、東工大で博士号をとられたのは今から10年前の55歳の時だととうかがった。
当時は、大学で教えながら、毎日夜中の2時くらいまで研究や論文の準備をされていたそうだ。
その積年の無理がたたったに違いない。
もし、都市大の定年が60歳だったなら、5年はゆっくり過ごしていただけたかもしれないのに。
定年がどんどん伸びることは、働く人々にとって必ずしも幸せなことではないと、このお二人の死から気づかされた。
本当は別の先生の授業を受けるつもりで調べていたのに、その講義が受けられないので受けることになったのが清水先生の「メディアと表現」「視覚情報表現論」の2講義。
科目等履修生といって、都市大では希望の科目だけ受講できるので、カルチャーセンターのノリで受講を決めたのだが、研究室に呼ばれて清水先生から言われたことは「あなたは大学院で学位を取りなさい」だった。
おいしいものの写真をお供えしよう
実際、東京藝大の教授に言及し、お忙しい中、受験に必須である推薦状も書いてくださった。
都市大の中で、学生に教えるゲスト講師の機会もくださったのだ。
のちに教育工学会で大学での教え方を学んだが、清水先生の講義は、そのルールにのっとった完璧なものだとわかった。
ご自身の研究を続けながら、学内の委員をやり、大教室の学生にも、外部からやってきた私のような者にも愛情をもって教育されてきたわけだ。
まさかの大トラブルが起きた三軒茶屋での食事会
学部の学生は気づいていなかったと思うが、元放送局のアナウンサーで、楠田枝里子さんと同期という美声と美貌の持ち主だった。
エレガントなのに、メカやシステムにもめっぽう強い。
なんて、ステキな女性なんだ…と、私はため息をついていた。
何度か食事も行かせていただき、やっとメンターと呼べる人物に出会えたと思っていたのに。
先生が引退しても長野県に学びに行くか、東京で講習会を開いて先生をお呼びするようなことを考えていた。
花文字だって、先生の退職を記念してどんな文字を書けばいいか何案も考えていたら、こんなことになってしまった。
神様はなぜせめてひと月でも猶予をくださらなかったのだろうか?
高校みたいだった都市大の横浜キャンパス
私は「私だけは」とか「うちに限って」という考えは持っておらず、私にもいつ何が起きてもおかしくないと思っている。
「明日死んでも悔いがないよう今日を生きる」
(望まぬ急逝パターン)
「100歳まで生きてもよいように今日準備する」
(望まぬ長寿パターン)
この両輪で考えていくべきなのだろう。
今回は大学のアドレスが使えなくなった後、近況報告などのお手紙をご自宅に出したことによって、それが転送され、ご遺族から連絡が来た。
結局のところ、手紙を出した時には先生はですでに亡くなっておられたわけだが、それでも先生の死を知らないままでいるよりはよかった。
ですから、あなたが気になっている年長の方に、今こそお手紙を出してみませんか?
祖父母でも、ご両親でも、学校の先生でも、元上司でも。
“こんなことなら、あとひと月早くお手紙を出しておけばよかった…”と私のように後悔しないために。
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