私の知らないうちに、私の著書が韓国でもう1冊発売されていた。“知らないうち”もいいところで、2011年に発売されたらしい。ええーっ?
ことの発端は、ブログにもすでに書いたが、韓国語の名刺だ。同郷で韓国語にも堪能なデザイナーの西田さんが韓国で翻訳された本の書影(表紙デザイン)を利用して名刺を作り、今年初めにプレゼントしてくださった。1種類は知っているが、もう1種類は何なんじゃろうなあ?とは思っていた。
(右)ナゾの本
その後、ソウルに行かれた際、大きな書店でまた「アマノノブコ」で著者検索され、「もう1冊のほうは日本語ではどの本にあたりますか」と尋ねられたのだ。「いや、韓国では1冊しか出てないですよ」と答えた。が、しかしその本の著者プロフィールには広島出身などと書かれているらしい。“広島出身でプレゼンテーションの本を書いているアマノノブコ”って、日本には私しかいないはずだ。
そこで、ソウルの有名大学に留学中の懇意の女子学生に、本の購入と中身の点検、著者プロフィールの翻訳を依頼した。彼女は試験があったのでしばらくたってから返事が来た。
「中身はほとんど一緒みたいで、プロフィールは天野さんのことだと思います。翻訳したプロフィールも送ります」とあった。
その本の名は『入社3年目のプレゼンテーション』。
3という文字だけは理解できる
訳してもらったプロフィールの一節で笑ったのは…
‘成功するプレゼンテーション’と‘失敗するプレゼンテーション’の違いを分析し、『入社3年目のプレゼンテーション』を執筆するに至った。
…、私、そんな本、執筆してません。
そこで、日本のエージェントから日本の版元編集担当、版権担当、韓国のエージェントを通じて版元にあたってもらった。その回答は「当初出した本があまりに売れなかったので、タイトルとデザインを変えて売り出した。伝えてなくてスミマセン」というもの。スミマセンではすみません。
しかも、当初の本は売れなかったかもしれないが、リメイクした本は売れていると踏んでいる。発見した西田さんも、翻訳してくれた女子学生も予約もせずに市中の書店に行ってすぐ買えたということは棚に並んでいたのだ。日本の書店で外国人著者が2年以上前に出したビジネス書が棚に並ぶことなどほとんどない。いったん並べても、売れてなければ店頭から消え去っているはずなのだ。
形を変えて2冊の本が韓国で売られているなんて、実は私、うれしいのよ。でも「許可なく」ということが困った。「韓国はそういう国ですから」と言われたらそれまでだが。どうにもスッキリしない。日本では著者・出版社に断りなく、タイトルを変更して売り出すなんてありえないよ。訴訟になりませんか?
韓国側は「著者がこっちに来て本屋なんか見るわけないから絶対バレないよ」と思ったかもしれないが、どっこい、こういう展開もあるのだ。悪いことはできないものだ。
印税が無理なら、せめてソウルのサイン会にでも呼んでください。
プレゼン・コンシェルジュNOVOの辛口web日記は
ただいま【第2980号】