(時間のある)「今年はやる!」と決めて、地元北区の北とぴあ演劇祭のワークショップに邁進中。
50分の1サイズで設計、採寸と設計図は必須だ
それをやらなければ、子どもの工作
大衆演劇ワークショップがかなり本格的なものであるように、舞台美術のワークショップも相当本気だ。
話を聞くだけでもないし、それ風の事のさわりだけやるわけでもない。
昨年は自分で舞台美術ワークショップなど開催した私が受講してみたきっかけは、やっぱり人はあてにならないから。
15階からの景色を眺めながらの制作~講評
還暦ダンス公演のために、5年も前から舞台監督を頼んでいたI美ちゃんは「忙しい」「しばらくやってなくて自信がない」と言い出すし、役者のA君も「本番が重なっている」と断られた。
頼りにしていた音響さんも予定を理由に断られた。
最終的には自分がディレクションして作っていくしかない。
講師は平田オリザさん率いる劇団青年団の舞台美術家で、複数の大学で教える鈴木健介さん。
概論から始まって、まずは昔話の桃太郎で舞台セットの模型を作ってみた。
模型に使うパーツを知ったことも収穫
教えていただいたことは、舞台美術は「見たて」であること。
山、川、桃を何に見たてるか。
桃太郎だからと言って、人間が入れるような大きなピンク色の桃を作る必要はない。
何かを桃に見立てればいいのだ。
私はスクリーンに円形のものを吊って、後ろからライトを当てることによって、小さい円が大きな円になっていく。
つまり遠近法で球体が近づいてくる手法を考えた。
後ろの中央はスクリーンが貼ってある想定で後ろから照明を当てる
川は床に置いたロープを縄跳びの蛇のように横揺れさせる。
山は両袖の幕。
このあたり、コンドルズやニヤカムさんの影絵をたくさん見てきたことが大きい。
2回目に向けては宿題が出て、泉鏡花の2作品から1つを選んでセットを考えていくことになた。
私は「天守物語」を選んだ。
キーアイテムは、獅子頭と天守。
私は秒速でシンガポールのマーライオンとマリーナベイサンズ(ホテル)が浮かんだ。
洪水もポイントになるので、マリーナの屋上のプールはモチーフになりやすそうだ。
ライオンの柱はもっと細くする
そして、こだわったのは汎用性だ。
ライオンの柱はだるま落としのようにして、途中の積み木を抜くことで低くできる。
プールを模した舟形のアクティングゾーンは3枚重ねで、高さが0~3枚で調整でき、シフォン的な布をかけたり外したりして水を表現する。
そうそう、劇場を横に使うのも私なりの工夫で、役者さんの出入りを、上手、下手と2か所に作った。
(普通は縦使いで上手しか出入りができない)
獅子は左向きでなければ奥にマリーナの建物が見えない
後方扉からも役者の出入りが可能
最後に発表しながら、講評をもらった。
全体に向けては、「今回模型を作る体験をしたことで、今後どんな舞台を見ても作り手の目線が持てる」と話された。
まさに。
私もこれから舞台装置が気になってしまうと思う。
そして、私の感想は…
①舞台に立ったことがなけばセットはデザインできない
ほとんどの参加者の模型に出入り口がない。
いくら美しくても、役者、ダンサーが出入りできなければ舞台は成立しないよ。
演出家が早替えさせたい時、両側に出入りできたほうがいいんだけどな。
そんなことが少しでもわからないと工夫できない。
②制限時間の間に完成させる
主にシニアだが、ワークショップでは「時間が足りません」「完成していません」と言い出す人が出てくる。
やさしい先生だと延長などの措置をとってくださるが、そんなのは甘えだ。
同じ持ち時間の中で完成させる。
プレゼンも、制限時間をオーバーしたら失格だから。
三方が壁で出入りができないセット例↓
懐中電灯で光を当てながらイメージを確認する
③予算と素材を考慮する
模型ならいくらでもキレイなもの、カッコいいものが作れるが、では実装するとなったら素材は何で作る?
その素材の価格は?重さは?
高い場所に吊るして安全性は確保されるのか?
絶対にくっつく2段階式強力接着剤を教えてもらったことも収穫
①②③を知っているだけでも、踊ったことがあり、美大に学んだ意義があるというものだ。
ああ、舞台芸術は大変だ。
さいたま芸術劇場の芸術監督を務める近藤良平さん(コンドルズ)は、これらのことを全て知っていて、さらに、音符が読めて、各種楽器も演奏できる。
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