年末に見つけた食堂二題。いずれも狭くて厨房設備もかなり不自由な飲食店だ。
1軒目は王子駅前の「福助」。12月25日、イブが明けて売れ残って投げ売りのクリスマスケーキを買ってくるよう命じられ探しに行ったときのことだ。今どきは計画生産なの、投げ売りなどやっていない。せっかくだからどこかに入ろうとして、いつも行く「集っこ」の隣にある店に挑戦してみた。
オムレツとろ~り、チキンライスしっとり
朝7時までやっているというのが気になった。大将がおじいさんの店かと思いきや、若い男性が切り盛りしていて、カフェバーとかビストロと呼びたいメニューのラインナップなのだ。
この店がすごい!カウンター5席しかないのに、冷蔵庫は3つあり、その一つは厨房のど真ん中にあるのだ。コンロは床下から20cmのあたりにあり、炒める、煮るという作業のたびにマスターはしゃがみこむのだ。
このキッチンで創り出されるおしゃれ料理の数々
ところが、出てくる料理が本格的すぎる。お通しがモツァレラのカプレーゼというあたりで、のっけから驚かされる。牛すじの赤ワイン煮と言えば、バゲットを切って、オーブンで焼いてガーリックバターなど塗られて提供されるという凝りよう。
オムライスを頼めば、玉ねぎや鶏肉を刻むところから始まるのだが、せま~い空間で魔法のようにできあがる。薄焼き卵で包むタイプではなく、ナイフを入れたらとろとろ卵が崩れるオムレツがのっかったタイプだ。こんなに手間がかかっていて500円。
2軒目は御徒町の「まんぷく」。年末に用事で出かけてたまたま見つけた。Yahoo!のトップページで紹介されていたのを読み、いつか行ってみようと思っていたが、ここだったのね。
香港の路地裏というか、TBSドラマのセットのようなロケーションだ。地元民だった私でもここは住所で探して行こうとしてもたどりつけなかった気がする。
都会の路地奥
ここもカウンターだけで、がんこ親父と息子さんががんばる洋食店だった。カウンターの出入りは低い扉をくぐるしかないのだ。
私はメンチカツ定食(650円)を注文してみた。メンチカツはどこで頼んでも当たりはずが大きいが、ここは大当たりだった。身が締まっていて、油がベタベタしていない。子どもの頃、外食の定番だった中の棚の「歩留久」(ポルク・広島立町)のメンチカツを思い出した。
ライスを半分に減らしてもらう。隣の人が食べているカキフライもすごかった
この2軒を見て、今の家の1階などボロくもないし、狭くもない。飲食店として十二分にやっていけると確信できた。おしゃれなカフェなどもいいが、ここまで突き抜けた店舗もいいよね。
肉がぎっしり詰まっているの、分かる?
私みたいに、おしゃれ系より、ボロッボロ志向の客も少なからず存在する。新橋駅前ビル地下の半坪の立ち飲み屋に群がるサラリーマンのように。
ああ、新春から夢は広がるねえ。
東京マラソンまで、あと52日
プレゼン・コンシェルジュNOVOの辛口web日記は
ただいま【3211号】